| 山内 亮二

Field Note | 飛騨山王宮日枝神社(高山市)

2024年4月初旬。飛騨山脈の稜線には残雪が残り、麓では桜が満開を迎えていた。
高山の山王祭は、日枝神社の例祭。旧城下町南半分の氏神祭であり、屋台曳き、からくり奉納、御巡幸が町を巡る。

町のあちこちで「カンカコカン」という闘鶏楽の音が町に響く。

この囃子は高山だけでなく、古川町や神岡町など飛騨北部の町村の祭礼にも受け継がれてきた。
今でも山王祭には、飛騨匠の木工技術や町衆による屋台文化、そして近世の城下町の構造が折り重なっている。
人や物が行き交ってきた土地の歴史は、祭礼のなかにも今なお息づいている。

琴高台。山王祭の屋台の一つ。文化12年(1815)、「琴高、赤鯉に座し来る」の故事にちなんで現在の台名となった。
天保9年(1838)の大改造では、組内に居住していた彫刻師・谷口与鹿が鯉や波の彫刻を手がけ、屋台全体が鯉を主題とする意匠となっている。

御巡幸に加わる神明講。江戸時代、大工や木挽(こびき)が火消役を担ったことに始まるとされる消防組。
神明講の火消用具は明治時代に新調されたもので、消防手の羽織には鹿革が用いられている。

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